5月6日・10日 批評会

1.遥如月「最後の一日、走り書き」

 

作者から

 

批評

・幼馴染の描写がリアルだった。妹が最後に居なくなってしまったのはもう少し説明が欲しかった。生々しい。こんな幼馴染いたらいいなって思いながら読んでました。

・完全にツイッターだなと思った。ツイッターの内容が反映されているところもあって面白かった。待ち合わせのすっぽかされた話など作者さん個人の禊なのかなと思った。全体的にスラングを拾っているものなどが多く、最後の一日にふさわしい歴史を感じさせる作品だなと思った。美玖ちゃんとの絶妙な雰囲気のもとでのやり取りはエモいなと思った。最後の一日にはコンビニおでんを食いながら諸々考えつつしんみりと過ごしたい。

・なかなか面白かった。世界が終わるときってこういう感じなのかなと思った。このあと実は世界が滅亡しなかったとかあったら面白い。地球最後の日にははなまるうどんをキメたい。ギャグマンガ日和の「地球最後の日」を思い出す。内輪ネタとか私小説っぽい雰囲気もあった。

・大変面白かった。描写が辛辣でリアリティがある。(半分ほんとのことだったんですね。)実在するアイドルグループとかをもじってるところもあれば、フィクション的なところもありそのバランスが良かったと思う。最後のコンビニパーティの描写に「ジジイチョイス」というのがあったが、美玖は女の子なので婆チョイスではとおもった。地球最後の日にはやりたいことを残しつつ死ぬんだろうなと思う。ただ、その瞬間は寝ていたい。

・本当に生々しい。ツイートの内容とかもじりとか、意外とよく考えられているなと思った。創作コミュニティの地球ちゃんレイプは本当にありそうだなと思った。地球最後の一日も意外と普通に終わりそうな気がした。

・個人的に結構好きな作品。幼馴染のツイッターアカウントのシュールさが好き。思考過程とかの細かいところを描写していくのが好き。妹がいなくなるくだりが語りで済まされるあたりがちょっと寂しいかなと思った。眠り猫狂子先生の「平成終わりの春」に似て沈み込むような陰キャが主人公で面白いなと思った。場所の移動と人の入れ替わりの速さにちょっと違和感があった。パーティーのような食卓にイカリングは違和感があった。美玖の性格が気丈なふりして人付き合いが苦手という描写と、ツイッターでの応答の齟齬があるような気がした。最初の文体と最後の文体が大きく変わっているような気がした。後半に向けてエモーショナルな成分が増えていっているのかなと思う。展開自体に不満はないのだがもう少し寂しさが欲しかったなと思った。地球最後の一日にはアメリカまで泳いでわたるなどエネルギッシュなことをやりたい。

・滅亡が確定してからの社会の動きにリアルっぽさがあった。北斗の拳の世紀末じみているというか……。ほかにも集団自殺とかありそう(過去の「滅亡チャンス」でそういうことが起きてる。マヤの大予言とかノストラダムスとか)。地球最後の日には寝てると思います。

2016815日は退位と関係あるのか?

・「でんじゃらすじーさん」に何か思い入れがあるのか?

・彼女を作る云々の話に関してはもうちょっと出しようがあったのでは?

・最初の方からテンポが良い作品だったが、彼女云々のとこで失速した。何かあるのでは。地球最後の日には結局いつものことをやるのではないか。

・「すれ違いになったら」というのはどういう意味か。

・地球最後の日にはローラースケートで走り回りたい。「地球ちゃんレイプ」とはなんぞや?

・最後に向けてヴォルテージを上げていくことの弊害として、普段の関係がわからない二人のやり取りの特殊さに説明が足りていない印象がある。

・ツイッターでのアップは画質が少し悪かったけど面白かった。主人公と作者さんが何となく被るような気がするけど、意外と巧妙に作られているのかもしれない。「最後」というテーマをうまく描いていると思う。個人的には地球最後までの間に社会が成り立たなくなるように思う。

・ツイッターや直接で聞いていたことが作品にちらほら出てきて笑う。すっぽかされた話もツイートしてたよね? 見ててめっちゃ悲しくなった。

・内輪ネタが多いように思える。ただ、基礎知識がないなかでもきれいにまとまっているように思う。

・内輪的な話とフィクションのバランスに気を遣っているのかなと思った。

・親は最後の日に職場に行って帰ってこなかったとか、サイゼにいった妹の話とか、滅亡寸前セールのコンビニとか、驚き。すごいなーと思う。

 

作者から

 

 

2.中根辰榮『イヌサフラン』

 

作者から

「文章を書く際に出してしまう癖などはありますか」この作品は冬号締め切り前に勢いよく書いた作品です。みなさんからの忌憚のない意見をお待ちしてます。質問追加「みなさんのお好きな花があれば」。

 

批評

・ラブコメに行くと思ったのに悲しい終わりになっていてびっくりした。話の方向性がちょっと見えづらかった。男性女性の人数設定など。タイトルを「イヌサフラン」にすることもちょっと違和感を覚えた。手紙を見せないことも緊迫感を増していたように思う。

・文語調にするのは好き。もう少し視覚的な描写を入れてもいいのかなと思った。文語に寄せているのに文章技術が現代的だったりする箇所がある(フレーズだけでの導入とか、会話で構成された文章展開など)

・面白かった。手紙の構成など現在と近いのだなと思った。四姉妹の親の世話など苦労を重ねる箇所で、危険を知らせるときに手紙など足の遅い手段よりもふさわしいものがあるのではないかと思った。親父の女遊びが酷かったのならその方向性を自分の娘に向けるなどのシュールさがあってもいいかなと思った。文や編を短く切る癖が結構ある。

・イヌサフランの花言葉が「最良の日々が過ぎ去る」なので内容とリンクしていて面白いなと思った。「~へ」が統一されていないように思った。

・この文体で読みやすい作品に仕上がっていた。最初に掲示されているひと言が作品構成を示唆しているようで面白かった。タイトルと花言葉をかぶせているのはエモいなと思った。

・俺

・古文調はすごくカッコいいし、ストーリーとか最初に出されたひと言とか注釈の使い方とかが趣き深いなと思った。楽しく読みました。

・「 」というのは各人で想像するしかなく、こういう作品は今まで読んできたものには無かった。これはインパクトのある手法だなと思った。

・一本に定めたふりをしたレールを途中で巧く外したのは面白いなと思った。男が三人いるのは最後の外しで必要だったのかなとは思うが、もう少し解決に向かう道筋を立ててから外すといいと思った。三人で話し合っているシーン、主人公が主体的にコミットしている感じがしない。また、誰がその場面での話し手なのかはちょっとわからないと思ってしまった。最後のシーンも、ちょっと事実がぼんぼん出ていてもう少しクッションが欲しいなと思った。時制を変えるときも、もう少し何か間を取るといいと思う。三人称を書くときに、第三者視点だとどうしても無感動になってしまいやすいという癖がある。あと、台詞がくそダサくなりがち。ひまわりが、夏の原風景の象徴になるから好き。

・自分の作品でもカッコいい導入を! と思ったのですかタイミング悪くパロディみたいになってしまった。

・最後の内容がかなり衝撃的で最初の場面が薄れてしまった。語調なども、後半の内容があまりにも強すぎたかな。平安時代の文章とか作っても面白いかなと思った。花は桜が好きです。若葉のつき方が綺麗なので。

・書くときの癖として、一文が長くなってしまいやすい。句読点も乱れやすい。カッコいいこと言おうとして失敗しやすい。花はきんもくせいが好き。きんもくせいの匂いが好きなのだが、「謙虚」という花言葉にはギャップを感じる。

・作品を書くときにはじぶんの気持ちが入りがちになってしまう。好きな花は一年生の時に育てた朝顔と母の日に贈るカーネーションが好きです。

・一番最初の一言はどうやって考えて書くのか? すごくカッコいい。書くときの癖として間を大切にしたいと思っているのだが、そのせいで場面転換に苦労することも多い。彼岸花が神秘を感じるので好きです。

 

作者から

 

ラブコメに見せかけたダークな作品を書きたかったので、話の趣旨を多くの人に評価してもらえたようでよかった。花言葉を見つけてくれたのはうれしい。イヌサフランと行者大蒜が似ているというのも意識していた。最初の一言は提出直前に仕上げたのだが、詳しい経緯は忘れてしまった。自分の書き癖は思い出せるようにしておきたいなと思う。最後の空白は皆さんに予想してほしくてやったことだけど、書けなかったのもありました。そういう意図を汲んでくれるのは作者としてはうれしい。書き癖は、高校の時に台本を書いていたときから「説明が多くなりがち」と言われていた。好きな花は、地元の学校でのフィールドワークで見つけた一輪のトリカブトに魅了された。美しいものと死のギャップに惹かれた。