三文春合宿二日目

フツカメ!




一作品目は


作品名:サイケデリック

作者:西東実

質問事項:気に入った表現はあったか?


まず質問事項については


・中段最後のところ。

・最初のところ。共感ができた。

・冒頭の第一段落の流れ。感覚的に。『阿修羅ガール』のように心をわしづかみにされた。引き込まれる。

・田中の設定の描写。「緩衝材を果たしていたのは事実だ」リアル。

・三段落め「うす暗い夕暮れ―」冒頭にあったら綺麗だろう。印象的。ハードボイルドな探偵小説にぴったり。

・しぼるのは難しい。全てが気に入った表現。よく推敲されている。


といった回答がありました。


また他には


・内面的な話をずっと考えているところからの情景描写で切れ味が鋭い表現になっている。

するどい部分にはセンスがある。何も起きてないのに、つまらなくない。

・スマートに出来そうな文。しかし、実際はオンリーワンの文。(スマートにはできないから)

・特別綺麗な文章ではないが、(肯定できる)個性のある、納得できる文章。

・文章について:

 全体的に特徴的。一文一文が独立。ex)「特急電車が来たー倦怠感が消えていく」

 代名詞が少ないためか。一文だけで読める。三文ではなかなかみない表現

 平坦な文章。浮き上がった良い表現がある、というより、全体でふわふわよめる

・なんとなく感じていることをとらえている。作者の感覚の違いが読み取れた。

・ひっかかりを持たせてくれる文章。何もないようで、何かあるように感じさせる

・田中が特別ではないが、惹きつけられる。

・切れ味は鋭くないが、面白い。独特の雰囲気。しぶいコーヒーのおいしさがある。

 もっと読みたい

・文章が短くてすっきりしていて、文章が無駄なくできている。さりげないが、なかなかできない。シンプルでクリア

・できれば長めの作品でクールな話を読んでみたい。

・文章がすごくいい

・センスが出ている。

・文章が短編向き。文末にたくさんの種類。単調ではない。変化があって読める。独特のリズム。

・もっと読みたい


といった批評が出ました。







二作品目


作品名:さよなら。なんて言えないよ

作者:副長工兵

質問事項:登場人物の考え方で共感できる人物はいましたか?誰でしたか?あなたなりの読解があれば教えてください


質問事項については


・衆が父親の生涯の繰り返しを絶っている。

・衆のほうに納得できる。どちらかといえば共感できる。

・衆に感情移入。視点だからか。

・全体を通して感情移入が難しい

・あきちゃんが一番感情移入しにくい高校生が大学生に父親を重ねるだろうか。

・みなこさんが感情移入しやすい。理解しやすい。行動理由が単純だからか。

・みなこさんが一番感情移入しやすい。本人の中でも一貫している行動原理。過去と切り離した行動。

   その上で理解者として衆を求める。

   =現実的だった。

・あきちゃんは、過去を切り離せていない。過去をひっぱって、衆に重ねている=押し付け。

   父親なら理解できるから、衆に理解してほしい。

   =実際には難しい。

   ※一貫して主人公が自分で答えを出すことを拒んでいる。

・冒頭に太宰の引用。=太宰に重ねて執筆している?心中エピソードなど

 感情移入できるキャラはいなかった。みなこはわかるが、全体的に共感はできなかった   

   「片側一方通行の依存」が多いからか。

   ...自分で歩いていないかんじの主人公。みなこの一方的依存傾向。あきちゃんの思考の現実味が薄い。

     小説家のお母さんは自立的だが、沖島の影。唯の思考は理解しにくい。

・共感できる人物はいなかった。

・冒頭の太宰治の引用。青森への旅も太宰治のオマージュと感じた。

 ⇔ストーリー展開、文体は村上春樹の影響が強い?

・太宰治の引用は皮肉?

・あきちゃんと唯には特に共感できない

 →みなこさんの方が現実で探しやすい人間。

  あきちゃんと唯の長台詞が急。

 「登場人物の内面を解釈して、その通りに登場人物が行動して共感。」

 ⇔推察するところはない。※長台詞が問題ではない。

・衆は理解ができる主人公。その意味ではよい主人公。


といった回答がありました。






その他には


・丁寧に書いている部分についてはよくできていた。

・主人公と唯が、きちんと描写できていた。中心に立てていた。

・主人公の一人称「おれ(ひらがなの”おれ”)」が著者の過去作品では珍しく、効果的だった。

 主人公の存在が読者にアピールされている。衆の自分に対しての意識の曖昧さの表現ができている。

 =ex)自己は確固たるものではなく、他人に依存している

・エピソードが飛ばされている、終わらせようとしているためか、終盤の丁寧さが足りない。

・「主人公の父親を覚えていなかった」

 ⇔覚えている人と覚えていない人を描写することで、読者も考えられたが、今回はできていない。

・主人公目線のため、情報が偏っている。

・最後の部分に向かっていくあたり:いままでの積み重ねで二人の離別の意味がわかる。効果が出る。

 ⇔今回は、効果が薄まってしまっていた。

・唯の視点で、他のキャラクターに感情移入しにくくなった。

・文章表現がうまい。精度が高く、丁寧でこっている。前半はきちんと推敲されている。今までの中で一番の出来。

 ⇔後半で駆け足になっているので、次官があればさらに完成度が上がったのでは。

・唯のベッドシーンエロい(後に続く)

・丁寧に書かれている。一つ一つのシーンがゆっくり。

・太宰治のオマージュが見られる。太宰治っぽい。

・実体験に重ねて読めた。

・旅が非日常的。常に非日常的なのはよい。

 ⇔主人公の日常、バックボーンがあると、なお深まるのでは。より面白くなる。

  ※主人公にとって旅があまり大したことではないとするのならば、このままの方がよい。

・文章はすらすら読めた。

・構成がしっかり考えられている。

・新しい視点の物語を読めた。

・衆が思いめぐらすシーンがかなり多い。

 作品は淡々としているため、なおのこと主人公の考えている部分が浮きだしている。

・ストーリーのギミックはきっちり決まっている。練られて作られている。

 ⇔後半の駆け足。もう少し後半をちゃんとした形で読めれば印象が変化するかも

・完成版を見てみたい。よくできていた。

・唯のベッドシーン:唯視点のところ。内面を語っているところから性描写への移行。流れるような移行がきまっている。

・感情移入するのは視点人物になりそうなところだが、最初に父親が出ててきて、その父親にコンプレックスがあったはずなのに、いつの間にかうやむやになってしまっている。共感どころではなくなった。好ましい人物でなかったのもあるかも。

 他のキャラクターでもそうだが、感情移入はできなかった。

・完成版で読みたかった。父親についての話が最後で完全に主人公から手放されている。

・物語の構成は好ましい。

・展開が予想できるのが良い。予想できる=女性に物語の核心がある。主人公たちの動きが予想でき、効果的。

・足りないエピソードが多い。

・主人公と構成はうまくかみ合っている


といった批評がありました。








三作品目


作品名:あの空には虹がかかるはずだった

作者:松葉醇平

質問事項:面白かった章はありましたか。反対に、間延びしたり面白くなかった部分があれば教えてください。章の順番はこれで良かったですか。


質問事項については


・章は視点ごとに変わっているで一貫している。

 ⇔もっと激しく視点を変えてもよいのでは。

 p117上の「空が赤い」を最初にするのが良いのでは?(世界の状態がぱっとわかりやすい)※全体を前にするのではうまくいかない。

 前後する部分があっても良いのでは。フレキシブルに考えても良いのでは

・p126~127上の

 二人が好き合っているという情報=もっと前の方がよい

 先にあったほうが、驚きにつながる。

・章立てについて問題はない。変えても何も変わらないのでは

・やっていること自体はとても面白い。

 ⇔退屈部分:先生のくだりに動きが少ない。固有名詞が一度にたくさん出て来る冒頭。先生がもっていた下卑た感情が露わになるあたりから面白くなった。

・首絞めシーン:文章で見るとテンポが悪い。説教臭くなってしまっている。しかし、映像として考えるとテンポは悪くない。

・一番面白い:かなちゃんの印象。テンポが緩い。ギャグっぽくなりすぎない感じやおさない部分の描写が面白い。

・作品構成...状況を用意してキャラクターを投げ込んで反応を実験するような作品。

・語りのモードの変更は成功。効果も出ている。

・第一章の先生のところを薄めないためには、最初に持ってくるのは正解では。ただし、一番最初に世界観を示す「空が赤いー」から始めるほうが、確かにきれいではある。

・ひさよとかなのシーンをもう少し早くに持ってきた方がいい。外から見た他の登場人物の関係がわかる上、ひさよで明るくさせて、あとで一気に落とす、という構成もできたのでは。

 ※現状では、わからないまま始まる。明るくなったと思ったら、理不尽に落ちたような印象。

 ひさよが活かしきれていない。ひさよが善良なまま、あっけなく死んでしまった。へし折る展開がなかったのが不満。

・あまり面白く感じられなかった

 絶望の中で、何人かのキャラクターで視点を変えて書いている

 =全体的に味が薄くなる。「ための部分」が必要では。世界観の説明が必要ではないか。絶望感が伝わりにくい。

 →改善すれば、よりよいラストになったのでは

・面白くなりそうな章だった(全体を通して)。

 オムニバス的作品。

 作者の目標=ギャグと情報の小出しと語りのモード、台詞描写で想像させる

 情報の小出しがうまくいっていなかった。千子と友哉の情報がうまくいっていない。レイプの描写の章は、ひさよのシーンの後にあるべきでは。

・冒頭はこれでいいのでは。展開が速い話がきていたので、入りとしてはよい



といった回答がありました。





他には、


・物語にフォーカスを置いている。

・キャラクター性の排除は、物語性と合わないのでは。

・長い物語でぶつ切りの状態が発生してしまうのはよくない。

・よくわからない状態に放り込まれている→読者が探っていかなくてはならない。悪影響。

・p129:よくわからなかった。何を言っているかはわかるが、何をしたいかわからなかった。

 悟志の最期を書かなくてはならなかった理由がわからない。

・情景描写:わかりにくい部分もあるが、何があるかはしっかり読み進められた。

 心情描写に力を入れている

・p125中:しっかり細部に至るまで描写をやりきっている

・キャラクター同士の掛け合いは納得いかないところが多い。

 ex)p120下~ 「人と人とが殺しあうー」

・議論より構造と描写でテーマを訴えかけられたのでは

・タイトルにこめていた意味がラストでわかる

 →うまくまとまっていた

・物語:ぶつ切り感

・千子とせんーが名前被っているのが、混乱を招く可能性あり。

・先生の下卑たシーン、性的身体描写を入れた理由がわからなかった。ただし、あり。

・120下からはキャラクターに語らせてるイメージを受けてしまう。力が入っている分。125下の下などは素晴らしい。

・キャラクターとしては、好ましいキャラクターが多かったので楽しめた。

・さとしの章は、かなの独白で出てくるから必要。全部のキャラクターが出てくるので構成としてもきれいになる。章自体をきっても他で補完すれば問題はないとも思う。

・女性が主人公。女性がきれいで男性が全員汚い、なにかしらやらかしている。絶望的な世界の中では男性がそのオブジェクトとして使われているのは、あまり好ましくない。男性にもきれいな心を持った人をいれて、バランスをとるとよいのでは。

・面白い。

・表現はよく、丁寧にゆっくりやっている。

・伏線のちりばめ方。狂気を見せるのであれば、先生=良い先生、という情報を先に出すべきでは。

・射精描写はギャグが捨てきれていない。もっとえぐい(気持ち悪い)描写に変えて書いたほうがいいのでは。

・「不良生徒と言われているが、実際は妹思いのいい奴だ」

 この情報は、うまくいっているようだが、少し弱い。描きたいキャラクターを違う視点で描くと、より効果的に描写できたのではないか。

・キャラクターごとに語り口が変わっているのはよくわかった。

・バランスの問題

 冒頭は「赤い空ー」で始めるべき。

・千子のシーンに割きすぎ。重さがここにあるように読めてしまう。

 千子のキャラクターがたちすぎている。

 他のキャラクターへのページが少ない。

・首絞めシーンはすばらしい。

・友哉の行動がちぐはぐ感。後半の豹変が突然すぎる。

 前半の議論で理路整然としていたため、なおのこと違和感を感じさせてしまうのでは。

・千子の心情描写はよくできていた。

・少し物足りない部分がある作品だった。

・ひさよ:短編で出すべきではないのでは。長い話の中で出すと、垣外のあるキャラクターになるが、短編では、雰囲気を乱してしまう。バリエーションの幅を持たすためのキャラクターかもしれないが、千子の後ということもあり、ギャップはあるが、前の章の余韻を乱してしまっている。 この部分は、ひさよではなく、黒いキャラクターにした方が雰囲気が整うのでは

・えぐい描写がセリフがなくなることでうまく描けていた。

・世界系の小説ではない。絶望的な世界観を構築する意図は伝わるが、「絶望の世界に至る前の日常描写(平和な)」がないために、絶望感が入ってこないのでは。

 =周りの描写が欠けている、説得力が足りない。

 cf)最終兵器彼女、進撃の巨人

 ほんのちょっとの日常との落差がなかった。あったほうがいいのでは。最初ではなくとも、落差はあるべきでは。

・赤い空の原因、灯台に何かあるのでは、

 →伏線のような描写で混乱

・p.120 それっぽく、裏がありそうなところが見られた

 →ごちゃごちゃなまま読んでしまった。

・章の場所を考えるべきか

・話自体は違和感なく、止まることなく読めた。読ませる力がある。

・悟志の章はもうちょい長くする。五感情報が制限されている状態なので、心情描写とかを混ぜやすいと思うよ。

・絶望感は感じない、モブキャラが死んでいる感覚。


といった批評がでました。




以上で春合宿の批評会まとめは終わりです。

以下蛇の足。

四年生の皆様、本当に本当に四年間お疲れ様でした。また会って飲んで遊んでくれるとウルトラハッピーです、よろしくお願いします。

三年生の皆様、今年一年かなり大変な年になると思いますが頑張ってください、批評会は良い息抜きになると思いますよ(?)

二年生諸君、幹部の代として一年間お仕事お疲れです。何やかんや特に問題もなく終えられてありがたいかぎり。来年以降もよろしゅうお願いします。

一年生諸君、来年からは君らの時代です。何でもやれるし何かは起こるだろうけど先輩も何かしら協力するので一年間頑張って楽しんでください。

そして俺、書類提出はいつもギリギリだし批評会連絡遅いし読書会やるとかいって全然やってなかったりしてたけど致命傷はなかったのでセーフ!よくやった!とりあえずこれからは締切だけでも守ろうな!


というわけで春合宿まとめ~でした。