こんにちは。副編集の鈴木です。本日は2013年度後期最後の批評会を執り行いました。
ひとつめの作品は、深井寛さんの「似非」です。質問事項は、「人に読んでもらえる作品になっているか」「どういうタイトルをつければ良かったか」といったものでした。作品全体を概観した批評としては、
・構成の均衡が取れていない
・文脈の乱れた記述があるが、意図的なものであったとしても読みづらかった
などの指摘もありましたが、
・ブラックユーモアとして解釈し、愉しく読んだ
・文章の基礎的な技量は高い
など、非常に好評な見方も提示されました。また、「どういうタイトルをつければ良かったか」については、具体的に「上っ面」「借り物」「被り物」などの代替案が出されたうえで、
・作品の内容を勘案しても、違和感や齟齬は感じない
・作品としての帰結があらかじめ分かってしまう題ではあるので、その点につき工夫することは可能かもしれない
などの講評が寄せられる結果となりました。
ふたつめの作品は、御影那由他さんの「冷たいキミの手」です。質問事項は「作品のテーマは何だと思ったか」「作中に出てくるアンドロイドをどのように感じたか(滑稽、かわいい等簡単で構いません)」といったものでした。作品全体を概観した批評としては、
・細部に欠点が目立つ
・近未来をイメージした時代設定と考えたが、現代的な設定を残した意図が掴みづらい、作品全体を通した言及性が欲しい
・世界観をイメージしづらい
などが指摘されました。また、
・SFというより青春を描いた小説として読めた
というような感想がもたらされました。
質問事項における「作品のテーマは何だと思ったか」については、「悲恋」「人間とロボットの断絶」など、多様な解釈が各人によりなされる結果となりました。また、「作中に出てくるアンドロイドをどのように感じたか(滑稽、かわいい等簡単で構いません)」といった質問については、
・台詞からは「絵に描いたようなアンドロイド」という感じがした
・もっと露骨に「人間との隔たり」を表現してもよい
などの意見が出されました。
以上で報告を終わらせていただきます。皆さん一年間お疲れさまでした。
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