カッコイイ名称(坂本晴人)

ってありますよね。いやあるんですよ。

特に私が世界史を勉強するのが大好きなのはそういう言葉をもっと知りたいからといっても間違いじゃないです。
というわけで今回は私がグッとくる名称をつらつら挙げていきたいと思います。


世界の半分 イスファハーン
世界史の用語集をぺらぺら眺めてた時にこれを見てどれだけ私が感動したことでしょう。
なまりと訳の都合で「エスファハーンは世界の半分」なんて言い方もします。
ペルシア・サファヴィー朝の首都だったイスファハーンの繁栄を表現した言葉です。どんだけ凄かったんでしょうか。


財務総監
要するにコルベールです。なお事実上の総理大臣職だった模様。
財務大臣とか大蔵大臣とかじゃないんですよ。「総監」なんですよ! レベルの違いを感じますよね。
王政時代の役職なので共和国になってからは置かれませんでした。残念。


絶対指揮権(インペリウム)
これは多分歴史の教科書には載ってないと思います。塩野七生さんの本を読んでる時に出てきました。
古代ローマの執政官(コンスル)が得た戦場での不可侵裁量権のことだそうです。
「速攻魔法発動、絶対指揮権インペリウム! 自陣モンスターの攻撃・防御力を二倍にする!」とかあってもいいと思いますがどうでしょう。


イェニチェリ
オスマントルコ帝国の持ったスルタン直属近衛隊のことです。ちなみに意味は実にシンプルで「新しい軍隊」。
若いキリスト教徒の男子を誘拐して家族と引き離し、強制的に宿舎に閉じ込めて軍役につかせたとか。凄い話ですね。
だけどその分スルタンへの忠誠心や仲間意識はめっぽう強く、最強クラスの部隊だったといいます。


ランツクネヒト
16~17世紀、現在のドイツ国内で活躍した傭兵たちの総称です。しかし直訳すると「土地(国)の召使い」
なんとも言えないものを感じますが、当時最強のスイス傭兵に対してドイツ人自身の手によるドイツ人の傭兵だったからこんな言い方をしたのだとか。
スイス傭兵は強かったけど雇用料も馬鹿にならなかったのだそうです。


破門十字軍
第六回十字軍の別称です。軍を率いた神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世がしょっちゅう破門されてたからこんな名称に。
しかしその実態はアラブ世界の内紛に付け込んだ第一回を除けば唯一となるエルサレム解放の成功者。しかも武力ではなく平和的交渉で行っているという。
いつかここを題材に一本書きたいなーなんて思ってますが、そんな小難しいこと抜きにしてもこの名称は面白く感じます。十字軍なのに破門ってのが。


皇帝官房第三部
輝けるロシア秘密警察の歴史を飾るうちの一つです。ニコライ一世が創設者。
何がかっこいいって一見何をしてるかよくわからない名前のに実態は国民(臣民)の弾圧を旨とする秘密警察というところ。
まあ実際のところ人員不足でとうてい帝国全域をカバーなんてできなかったそうですが。


チェーカー
輝けるロシア秘密警察の(ry これはソヴィエトロシア黎明期のものです。一応補足するとヴェーチェーカーのがより正しいです。
これの何が面白いかといえばその名前の嘘つき感。正式名称は長すぎるので割愛しますが、チェーカーは「非常委員会」の頭文字を読んだものです。
しかし「非常」のわりにはいつの間にか常設化され、そしてその後GPU→NKVD→KGBと進化します。思えばあの国は常に非常時だったのかもしれません。


星室庁裁判所
イングランド王ヘンリー八世の時代に確立された裁判所です。
裁判を行ったのが星の間(Star Chamber)だったからこんな名前になったとか。
実態はあまり興味がわきませんでしたが非常にいいセンスだと思います。名前は。


無憂宮(サンスーシ宮殿)
プロイセン王フリードリヒ二世が作った宮殿。単に「サンスーシ」ではフランス語が分からないこっちにとっては何とも思いませんが、漢訳して「無憂宮」とした途端変貌しました。
銀英伝ではこれを踏まえて新無憂宮(ノイエ・サンスーシ)が出てきてましたねえ、そういえば。
あの小説はドイツ語大好きなのは知ってますが、もともとフランス語なんだからヌーヴォ・サンスーシの方がいいんじゃなかろうかと正直思っていたり。かっこわるくなっちゃうけど。

 


10個も挙げられたんでひとまずこんなところにしておきます。
こういう名称を無駄にいっぱい仕入れておくと自分で組織名とかの固有名詞を考えるときに遊べて楽しいですよ。
「こういうのもあるよ!」って方、ぜひぜひ私のほうまでお教えくださいませー。